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つるの恩返し

 半年程前に見た夢。その日、私は山の中の田んぼに出かけていた。昴家は広大な(?)岡山平野の隅に存在するので、実際には田んぼは全て見晴らしのいい平地にある。が、夢の中では山の中の段々田んぼの一つが昴家のものということになっている。細いが一応アスファルト舗装されている道を登っていくと左手に段々田んぼがあり、右手は雑木の森である。昴家の田んぼの1つ上は謎の資材置き場で、私はそこの塀から乗り出すようにして下の田んぼを見ていた。田んぼには程よく伸びた稲が生えていた。田植えをしてからは大分経つが、まだ穂は出ていない状態。しかし植え方は大変乱雑であった。株のない箇所が山のようにある。上から見ていて水面が見えるところがボロボロあるのだ。その、丁度稲のないところで大型の鳥が2羽、イチャイチャしていた。 一方は白鷺、それも大サギ。他方は見たことのない鳥だった。それを見た瞬間、私は「ヘゴヅルだ」と思ったが、多分、そんな名のつるはいない。
 とにかく、2羽は首をすりよせ、誰が見てもわかるほど、お互いに夢中だった。私は「異種族間の恋か…。この場合、子孫は残せるのだろうか…」と思いながら眺めていた。
 その時である。ガサガサと稲の繁みを掻き分けて、昴家の破壊神、母上があらわれた!(いや、決して普段「破壊神」と呼ばれているわけでは…ただ私の夢の中でしばしばあたりを荒らす役として登場するので…汗)。母上は田んぼ仕事をしていたのだ。田植え足袋をはいた母上は繁みから現れ、2羽の鳥には目もくれず、再び反対側の繁みへと消えていった。驚いた白鷺は飛び立ってしまい、後には母上に踏まれ、断末魔のケイレンをしているヘゴヅルの姿が…!

 くっきり残る足形も痛々しい。私は慌てて下に降り、最早ぐったりしているヘゴヅルを抱き上げ、涙目で母上に抗議した。
「踏まんでもええが!」
「あれ?そんなもん、おったん?」
 …ああ、そうなのだ。母上とて鬼畜生ではない。いやむしろ生き物には優しい部類に入る人間なのだ。ただ、時々作業に熱中するあまり、周りの存在に気づかないというだけで…。
 私は家に帰ってヘゴヅルの看病をした。普通なら足形がつく程踏まれていれば内臓破裂ですぐさまご臨終だろうが、そこは夢である。あっという間に何日も経った夢のラストで全快したヘゴヅルは西の空へとそそくさと旅立っていった。その後姿を見送りながら、「ツルなんだから、恩返しに来てくれてもいいよ」とちゃっかり思ってしまった私。
 そして目を覚まして一番に「ふっ。でも原因を作ったのも我が家だしな。。。」と思ったのであった。


風呂にはバット

 つい最近見た夢。寝室で寝ていた。夜である。本来私は畳の上にせんべい布団で寝ているのだが、夢の中で私は最新流行の寝方をしていた。その寝方とは畳の部屋にバスタブを持ちこみ、ひたひたのぬるま湯の中に横たわって寝る、というものである。これぞまさしくウォーターベッド(<違うだろ)。冷静に考えると朝までつかってたら全身ふやけるぞ、とか、うつ伏せで寝たら溺れるぞ、とか、たくさん不都合はあるのだが、そこは夢の中。これが最新の健康療法でしかも大流行中ということになっている。かくいう私も、あまりの気持ち良さに心の中で大絶賛しながら眠っている。快適安眠。が、安眠していたのも束の間、ふっと目が覚めてしまった。夏である。部屋の両側にある窓は網戸にしてある。なおかつ、風通しをよくするため、カーテン全開で寝ていた。その時ふと窓の外に目をやった私は、屋根の上にうごめく黒い人影を見てしまったのだ・・・!「泥棒だ!」と瞬時に私は思った。その泥棒さんは、向かいの私の作業部屋の窓あたりでうろうろし、中を伺っている様子だ。
 ここで、私の生活拠点である昴家新2階(旧2階というのもあるのだな。田舎なので家だけは広い。)の構造を解説しておこう。新2階は2棟が渡り廊下でつながった形だ。旧2階もあるので昴家は外から見ると3件の家が合体しているように見えるのだ。新2階南の棟には私の作業部屋(1年ほど前までは寝起きもすべてここでしていた)と物置と化した部屋があり、北の棟には今寝ている部屋とパソコンを置いている部屋がある。ちなみに1階の屋根は全部つながっている。その1階の屋根の上で泥棒さんはうごめいているのだ!
 いや待て。泥棒さんではないのかもしれない。何か他の目的があって屋根の上にいるのかも。まあでも明らかに不審人物,不審な行動。夜中に他人の家の屋根を歩いていたらそれだけで泥棒と判断されても文句は言えないであろう。まさに「梨下に冠を正さず」である。とにかく一応上記のような理論展開を頭の中で終わらせたあと、やっぱり泥棒と結論を出した私は固唾を呑んで彼の行動を観察した。風呂の中で固まったまま。やがて泥棒は作業部屋を覗きこむのをやめ、私の寝ている部屋の方へ向かってきた。「これはもうヤバイ!」ついに危険を感じた私は叫ぼうとした。「ドロボー!!」と。ところがすごいもので、緊張のあまり声が出ない。ノドがカラカラに乾いている。まさか風呂の水を飲むわけにもいくまい。思いつきもしなかったし。となれば応援は頼めない。私は万一に備え、武器になるものを探した。枕元(といってもバスタブの外ね)には毛布しかなかった。「しまった!万一のためにバット位置いておくんだった・・・!」と思ったがないものは仕方ない。私はないよりマシ、と毛布をガッシと掴み、バスタブの中で立ちあがって毛布をブンブン回した。高速回転してれば少しは硬いものに見えないだろうか・・・?(汗)

バスタブに浸かっていてもパジャマと掛け布団と枕はある。

 しかし振り回したからといって、毛布がヌンチャクに化けるわけではない。ム〜ンム〜ンと緊張した気を発している私の気配に、ついに泥棒さんは気づいてしまった!そこで家人に気づかれるとスタコラサッサと逃げてくれる泥棒さんなら良かったのだが、逆に近づいてくるではないか!すばるくん絶体絶命のピーンチ!どうする?毛布で闘えるか?!と緊張が極限に達したとき,目覚ましが鳴ったのだった・・・。起きて一番に思ったのは「風呂にはバット!」だったが・・・よく考えると昴家にはバットなんてないし・・・マサカリとかじゃ殺しちゃうし・・・ということで、泥棒さんは昴家に来ないことをおススメします。


ひまわりお化け

 その日私はいつもの本屋へリベロで出かけた。帰ろうとしてふと時間を見ると、塾が始まる時間がかなり迫ってきていた。「え!?なんで?」いつもなら余裕なのに、何故今日に限ってこんなギリギリなのか、さしたる理由も浮かばないまま、とにかく焦って私はリベロを発進させた。が、しばらく行くとこんなときに限って、私は道に迷ってしまったのである!何故か気づくとあたりは田んぼだらけ。さっきまで走っていた道も狭い畦道に変わっている。バックするのも難しいうねうねの畦道、私は進むしかない、と思った。が、道幅が狭すぎてこれ以上四輪のリベロでは進めない。ふと見ると、リベロは後輪が真中に一つだけある三輪車になっていた。これはなんとかなる!とにかく早く帰らねば、という義務感で一杯の私はリベロの前部分を持ち上げて肩に背負い、後輪のみを畦道の上に乗せてリペロを背負ってゆくことにした。。。

すっごく重かったがなんたる幸運、リベロは後ろが1輪になっていた。

 やがて延々息を切らしながら歩いた私の前に深〜い谷が出現。「なんでや!?家と本屋の間でなんでこんな場所があるんだ!」と絶望的な気分になる私。谷は深く細い石の階段が延々と底へ降りて行き(なんと深すぎて光が届かず底は見えない)、また対岸の断崖を同じような階段が延々上っているのが見える。ここまでの行程で重いリベロを背負ってきたせいで、体力の限界を感じていた私はそれでも、家に時間までに帰らねば、とリベロを背負ってその谷に挑む決意をするのだった。。。そこで場面は変わって、どこかの山の中だ。山の中のわりには地面には下草一本生えておらず、落ち葉もなく、きれいに掃除されているのだが、とにかく森の中だ。リベロはどこにもいない。設定が既に変わっている。どうも私の乗っていた飛行機が墜落して、私は一人山の中をさまよっているらしい(なんて無茶で唐突な設定。これが私が描くマンガなら即ボツだ)。しかもここはインドの山奥なのだ。何故にインド?レインボーマン??植生といい、景色はどう見ても日本の山だが。するとそこへまたも夢らしく、突然、腰に布をまいただけのよく日に焼けた背の高いお兄さんが登場。彼は以前この山で同じように遭難し、一人で脱出に成功した経歴の持ち主だというのだ。「じゃ、なんでここにいるんだよ」などという突っ込みは夢の中の私には思いもつかない。とにかく、この途方にくれた状態で頼りになるのはこのお兄さんだけ!と、自分がこのお兄さんに出会えた幸運を感謝しつつ、お兄さんの案内に素直についてゆく。お兄さんはさわやかそのものだ。笑うと黒い顔の中で白い歯がキラリンと三鷹さんのように(「めぞん一刻」:高橋留美子の登場人物ね)輝くのだ。私はお兄さんに絶大なる信頼を寄せ、ひたすらついてゆくのであった。やがて、かなり平地に降りてきた。細い川が中央をうねうねと流れていて、石の橋なんかもかかっていて、どう見ても公園のような風情だが、まだ設定ではあくまで人里離れたインドの山奥。お兄さんが言うには油断してはいけない、ここからが危険地帯なのだ。このあたりはヘビ地帯なのだ。よく気をつけて歩かないといけないのだ。よく見れば確かに、木の陰や枝の上にニシキヘビが大量にいる。ザッと数えても50匹や100匹ではきかないだろう。ここのヘビたちは殊更狂暴で、こちらに気がつくと襲いかかってきて人間なんか丸のみにしてしまうというのだ。気づかれぬよう、息を殺して進まねばならぬ。2メートルも3メートルもあるヘビに襲われるのはちょっとやだし(ちょっと?)。そうしてお兄さんの指導のかいあって、我々は無事危険ヘビ地帯を抜けつつあった。が、その時だ。お約束だ。最後の最後で気が抜けてバレてしまうというヤツだ。ついにヘビたちに気づかれてしまった。枝の上からボトボト落ちてきて襲いかかってくるヘビたち。ギャーギャー叫んで逃げ回る私。お兄さんは感心にも、私をかばって、ヘビをやっつけながら後ろをついてくる。やっとヘビの恐怖から開放されようかというその時、それは私たちが通ってきた森の奥から現れた!
 シュッシュッシュッとやな音を立てながら猛スピードでツチノコのような動きでやってくるソレ。いや、ツチノコの動きを見たことはございませんが。とにかくしっぽ?か根っこ?かの端だけを地面につけ、体を前後に揺すりながらやってくるソレはどこからどう見てもヒマワリ!(図参照のこと。我ながらソックリ)。でも目も口もある。子供番組かなんかに出てくる着ぐるみみたいなちょっと愛嬌のある悪役顔だ。それが、来る来る。猛スピードで我々の方へ迫ってくる。
お兄さんはヘビを撃退している時からナイフを使っていたのだが、そのナイフを構え、「逃げろ!!」とかなり真剣に叫んだ。しかし次の瞬間にはひまわりお化けと取っ組み合いになっていた。お兄さんは180センチはあろうかというなかなかの長身だったのだが、ひまわりお化けはそれを上回っていた。直立部分だけでも2メートルはあろうか。そいつがしばらくお兄さんともみ合っていたと思うや(なんと葉っぱ2枚が見事に手の役目を果たしている)ガッシとさわやかお兄さんを掴み、頭からバリバリと食べてしまったのだ〜〜〜。なんてことだ!一度目は無事生還したお兄さんも二度目の生還は無理だった!インドの山をなめちゃいかんのだ。泣く泣く私は後ろも見ずにダッシュでその場を後にしたのであった。。。という自分の薄情さを再認識したあたりで覚めた夢だった。もちろん起きたら前半のリベロを背負った疲れもあって、デロデロに体力は消耗していた。・・・それにしても未だにわからない。。なんでインド???


トラウマな夢
〜幽霊軍団日本征服〜

 3歳か4歳の頃見た夢。夜8時、A川荘のプールがある土手から何故か私を先頭に、当時一緒に遊んでいたT君、Rちゃんはポツンと明かりのついている建物に駆け込んで行く。建物はA川荘の施設だが、平屋の病院みたいな造り。リノリウムの暗い廊下を私達は明かりのついている部屋目指して駆けて行く。その明かりのついた部屋には出産を終えたばかりの父上(何故?・笑)が赤ちゃんと一緒に寝ていて、我々は赤ちゃんを見るために駆けていたのだ。が、その途中、最後をついてきていたRちゃんだけが、明かりのついていない違う部屋へ入ってしまう。私達は気づかず行ってしまうのだが、その部屋には黒い男の人のシルエットが見え、それを見たRちゃんは蛇ににらまれた蛙よろしく、動けなくなってしまう・・・。というところからこの夢は始まる。結局その男の人は幽霊で、Rちゃんは幽霊の仲間にされてしまうのだ。何故か幽霊達は吸血鬼のごとく襲われた(?)人々を幽霊にして増殖していくのだ。やがて日本全土が昴家を残して幽霊化してしまう。TVではこの事態を重く見た海外から、幽霊征伐のため、派遣された人の雄雄しい姿が中継されている(でも何故か日本海軍みたいな映像)。あと、幽霊に征服された日本では草花を摘むとその茎から血が流れるといった中継。が、そのTV画面が急に変わり、時代劇になる。見ると父上そっくりの浪人が出てきてバッサバッサと人を斬り殺している。するとそこでどこからともなく不気味な声が「わかったか、お前の父親は前世でこれだけ人を殺したから今報いを受けているのだ〜」と言うのであった。つまり今の状況は全部父上のせい?みたいな。(なんかあったのか?この頃>私)やがて麒麟みたいな化け物が床下や天井に侵入し、いよいよ我が家も危ない、というところで目が覚めた。両親と川の字になって寝ていたのだが、泣いた泣いた。コワクて。朝の4時頃、ギャンギャンと。しかも母上が「なんで泣きょん?話してみられぇ」と言っても、夢の内容を口に出すとさらに怖さが増す気がして話すこともかなわず。。。そしてこれ以来、随分長い間、私の見る怖い夢は幽霊とショッカーに追いかけられるものに限定されたのであった。


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