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眠るが勝ち

 すでに日誌などを読んでいる方はお気づきだろうが、私は寝つきが悪い。「不眠」といっても差し支えないレベルかもしれない。

 初めて自分の寝つきの悪さを自覚したのは4歳の頃だ。近所のいとことお互いにお泊りして寝ることがこの頃多かったので、いとこの寝つきの早さにビックリ仰天。寝る体勢に入って目を閉じてから、寝付くのに最低1時間くらいは助走時間が必要なのが普通かと思っていたのに、いとこは目を閉じて5分くらいで寝息をたてだすのだ!そういえば母上や父上も寝つきは早い。。。
 当時はまだ川の字になって寝ていたが、20:00頃には布団に入らされる自分が、23:00頃に布団へ入ってくる両親にはさまれて、両側から寝息が聞こえ出してもまだ一人寝つけてないのがちょい哀しかった。。。先天的に夜行性だったんだろうなあ。朝にならなきゃ眠れない。。。
 保育園というものには行かなかったのでお昼寝タイムというのを経験したことがないが、もし経験していたら、いつまでも眠れなくて苦労したことだろう。

 さて。
 ということで、今回は寝つきの良さ悪さに関連した悲喜劇(笑・ちょっとオーバー)。

ケース1:キャンプにて
 小学校4,5年の時の話。

 私の住んでるあたりにはスポーツ少年団だとかこども会という制度(?)がある。小学生は全員強制的にメンバーだ。まあ、要するに地区単位でクリスマス会を催したりする会だ。結局小学生と親のための親睦会なのかな(?)。正体不明。しかも今も続いている制度だ。生徒が「うっと〜し〜」とよくグチをこぼすので連綿と続いているのは間違いない。

 このこども会だかスポーツ少年団だかでキャンプに行った時のことだ。

 キャンプといっても隣りの町の、辺鄙な山の上にある廃校(?)の校庭にテントを張るという、肝試しがしたいんだか何がしたいんだかよくわからないキャンプであった(別にキャンプの行事に肝試しは入っていないが)。

 飯ごうでご飯を炊いたり、まあキャンプっぽいことをして、その夜テントで寝た。テントで寝るのは初めての経験である。仲良しのMちゃんと隣同士で、その両脇をそれぞれの母親が固める配置であった。

 当然私は寝付けない。周りはスヤスヤ幸せそうな寝息に満ちておる。一応目を閉じて寝る努力は続けているのだが、眠れない。内心「しくしく(泣)」だが、もはやこんな状況には慣れている。

 さて、そんな時、突然私は動けなくなった。
「うわっ、金縛り?!」
などとは全然思わなかった。原因はすぐわかったから。
 隣りに寝ているMちゃんが寝返りを打った拍子に私の上に覆い被さってきたのだ。
 重い・・・・。
 しかしMちゃんは幸せそうに眠っている。寝つきの悪い自分にとって、せっかく眠っている人様の眠りを妨げることは大罪である。よって重いのはがまんする。

 さすがに胸部圧迫で息が辛いので、眠るのは諦めて私は目をあけてしばらく待った。テントの小窓から、丁度、かなり明るくなった空と南中した下弦の月が見えていたので、すでに夜明け前である。。。しみじみりぃ。。。

 20分程そうしていたかな。私の息の限界が来そうになって、「これ以上この体勢を続けていると窒息するかも」と、遂に彼女を押しのける決心をした途端、彼女は再び寝返りして、私は解放された。

 その後、みんなが起き出す直前、ちょっとうつらうつら出来たのであった。

ケース2:修学旅行にて
 中学の修学旅行の時。

 畳の大部屋にギューギューに布団を敷き詰めて寝た。私は寝つきが悪いので、少しでも寝付ける環境を確保すべく、壁際を希望した。よって押入れのふすまのすぐ横の布団で寝た。しかし、例のごとく寝つけない私。

 その真夜中、ゴロゴロと不吉な音が近づいてくる。隣りの布団で寝ていたHさんが転がってくる音だ(笑)。タンクローリーのような勢いで彼女はふすまの方を向いていた私の背中にぶつかると、掛け布団ごと私をふすまの前まであっという間に運んでしまった。私はふすまとHさんにサンドイッチされる形となった。

 しかしそれでも彼女は止まらなかった。彼女は回転を続け、ブルドーザーのようについには私の下にもぐりこんできた。私はふすまと彼女に挟まれ、持ち上げられ、ミシミシとふすまをしならせる結果となった。
 これはかなり苦しい体勢。しかも、図らずもHさんの上に乗っかる形になってしまったので、彼女が重いんじゃなかろうか、そのせいで彼女の目が覚めてしまうんじゃなかろうか、と結構気が気じゃなかった。

 しかし彼女は私の心配など、何処吹く風、全く目覚めなかった。しばらく私の下でグルグル回転を続けた末、これ以上進めないことに気付いたか、今度は反対方向に転がり去っていった・・・。

 彼女の反対隣りに寝ていたコがどのような被害にあったかは、私は知らない。

ケース3:合作中1
 確か「幻妖伝説」か「BLOODY HUNTER」の合作をPROMIメンバーのS(一応名前は秘す・笑・でもバレバレ)の家へ行ってやっていた時だ。

 夜遅くまで作業し、そのまま私は泊まることになった。Sのシングルベッドに無理矢理二人並んで寝た。
 寝つきの悪い私だが、この頃になると経験も増え、学習して大分早く意識を遠のけるコツをつかんできていた。よって、何度か体の向きを変えているうちにやっと意識が遠のきはじめた。。。その時、横を向いて寝ていた私の背中にズシッと重みが。

 Sが寝返りをうって私の背中に半乗りしてきたのだ。重いので私は少し前進。すると空いた空間が呼ぶのか、さらにSは寄ってくる。また少し前進。そして乗られる・・・を何度か繰り返していると、私はベッドの端から落ちかける体勢になってしまった。
 すでに私がキープしているベッド上の空間は幅20センチほどしかない。うつぶせになって左手が床につく。その姿勢でしばらく耐えるが、Sの体重はますますかかってくる。何だか人間ベッドになった気分。。。

 とっくに目は開けている。外は明るい。しばらくの間逡巡した末、左足まで床についた段階で、限界と判断した私はベッドを離れてトイレに行くことにした。それをするとせっかく寝ているSを起こしてしまう危険があったのだが。
 そしてトイレから帰ってくると、Sは寝返りをうっていて、私のスペースは空いていたので、再びベッドに戻れたのであった。

 しかし、後で聞いたところによると、私がトイレに立った時、いきなり寄りかかっていたものがなくなったSはやはり目をさまし、トイレに向かう私の後姿を認めて「もう!せっかく気持ちよう寝とったのにトイレかい!プンプン!」と腹を立てたそうな・・・。

ケース4:合作中2
 これも合作がらみだ。「甦る伝説」を描くために、私はAの家にお泊りした。冬だった。

 Aの家は冬場には布団を敷かない。コタツで寝るのだ。これは結構(寝ることに関してだけ)デリケートな私には辛い状況。しかし郷に入っては郷に従え。
 部屋の構造上、私とAは直角の配置でコタツに入って寝た。足が当然ぶつかるので、なるべくぶつからない位置へ足を伸ばし、上を向いて目を閉じていた。

 「コタツで寝よーったらな、よう猫が来て上に乗って寝るんじゃー」とは、あらかじめ聞いていた情報である。Aの家には猫がいっぱいいる。

 さて、しばらく目を閉じていると、音もなく気配がやってくる。
「はは〜ん、猫だな」
と思っていると、猫は飼い主のAではなく、私の上に乗ってきた。私の胸の上に乗り、丸まってスヤスヤと寝出したのである。。。重い。。。

 私とAは性格的によく似ているというのは、両家の家族の証言によりわかっていた。が、最近、発するオーラというか、雰囲気というかまで一緒なんじゃないだろうか、と思う。
「この猫、人見知りが激しいからお客が来たら逃げるんよー」という猫によくまとわりつかれるのだ。そして、目が合った途端、猫は何かに気付いたようにビクリとし、逃げていったりする。。。つまり、これは顔を見るまで私をAと信じ込んでいたということではなかろうか・・・。

 まあそのようなことが何度もあったので、「ああ、またAと間違えられてる気がする・・・」と思いながら重さに耐えた。当然ながら胸を圧迫されていると眠れない。しかし猫といえど、安眠しているものの眠りを妨げることは私には出来ない・・・。

 夜明け前、猫は目を覚まし去っていった。最後まで私はAではないという事実には気付かなかったようだ。。。
「やれやれ、これで寝れるわ」と思ったのも束の間、今度は外からブォーッという巨大な音が。
「これは何事なのだ」と思っていると、目を覚ましたAが
「ああ、法螺貝の音じゃ〜。(山の)下に住んどるおじいさんが毎朝吹きながらお参りに来るんじゃ〜」

 ・・・Aの家はお寺。敷地内に神社もある。しかし朝の4時5時に法螺貝を吹きながら山を登ってくるじいさんも何者?
 こうして私はこの夜眠ることが出来なかった。。。

ケース5:合作中3
 これは私はただの目撃者。やはり合作中。PROMIの「翼なき狩人」か「海に還る」の時だ(多分、前者)。

 PROMI元祖メンバーの4人がKの部屋で泊まりこむ予定でマンガを描いていた。一番にダウンしたAは部屋の主・Kのベッドの上で寝始めた。ちなみにAは立ったままでも眠れる、私とは対極にいる寝つきのよい人間だ。

 次に部屋の主・Kがダウンした。彼女は自分のベッドのすぐ横の床に、ベッドに貼り付くようにして寝た。彼女も目を閉じるとすぐさま深い眠りにつける、うらやましータイプの人間だ。

 さて、夜はどんどん更けて、作業を続けていた私とSは二人に背を向け「銀河鉄道の夜」のアニメなどを見ていた。TVの音は小さいし、内容が内容なので、すご〜く静かな雰囲気だ。その時、
ドスゴン!
と、大きな音が後ろでした。
 振り返った我々はKの真上に落ちたAがご丁寧にもKの顔面に肘鉄を食らわしている光景を見た!

「い〜て〜ぇ〜」と起き上がるK。
 寝ぼけて落ちたことに気付いていないA。
「起きて起きて!のぼってのぼって!」と私とSは慌ててAをベッドの上に追い上げた。そしてAもKも「ウニャウニャ」と言いながら再び寝た。

 翌日、Aはベッドから落ちたことを憶えていなかった。Kは「そういやぁ、そんなことがあったような。。。」と言った。。。
 眠りが深いってこういうことなんだ。。。

 寝つきの早い人、眠りの深い人はかくも強い。うらやましいぞ〜〜〜。とにかく世の中、眠ったもん勝ち!私もいつか寝付きのいい人間になってやる〜〜〜(今更無理?・涙)。

'01/10/26 UP


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