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危ないだろう

 車を運転していると、時々独創的というか、楽しい看板を目にする。中には独創的過ぎてついつい食い入るように見てしまい、帰って危ないだろう、と思うものもある。

 ということで最近見た中ではこれ。

 地元の有料道路「ブルー○イン」を邑久町方面から備前へ走ると、鶴海インターの手前でこの看板に遭遇。まだあるかどうかは知らんが。

 パッと見て目が吸い付いた。何故三々七拍子?三々七拍子でブレーキを踏めと?踊る音符も楽しげでよろしいが、急カーブ手前でこんな目の吸い付く看板は危ないだろう。
 作った人、もうちょっと考えてくれ。

 とか言ってたら、親切な人が「三々七拍子」の意味を教えてくれました。路面のスベリ止め(?)のデコボコが三々七拍子になっているそうな。なるほど納得。でも字が躍ってるのはなんでだ?楽しいのか?
 しかし、それに気づかないor知らない人間にはやはり謎の看板であるぞ。危ないことには変わりなし。

'01/09/21 UP '01/09/28 追加


いたずら電話2

わりとどーでもいい注)「いたずら電話2」というタイトルはすでに「作業部屋」に「いたずら電話」というヤツがあるからです。

 その頃、我が家には頻繁に無言電話がかかってきていた。気持ちは悪いし、みんな大迷惑。

 姉上(小)が来ていた丁度その時、また無言電話がかかってきた。そこで姉上(小)が
「よし!」
と、おもむろに聖書を出してきて淡々と電話口に向かって朗読を始めた。すると電話は切れた。姉上は
「まあ、読みきらんうちに切るとは失礼な!」と笑いながら言っていた。

 さて。
 数日後、友人と会った。
「あんさんちの電話、壊れとる?」
「へ?」
 「この前電話したらそっちの声は聞こえるのに、こっちの声は聞こえんらしゅうて、もしもし、もしもし、言ようったら、お姉さんが聖書読み出したんじゃ。こりゃおえんわ、と思うて、切った」

 このありがたい証言により、無言電話はいたずらではなく、電話の故障だと判明した。電話を買い換えたら、ぱったり無言電話は来なくなった。
 言われる前に気づけよ。。。

'01/09/07 UP


三日トンボ

 変なタイトル(笑)。

 我が家はほどほどに田舎なので、家の中によく虫が飛び込んでくる。セミやらハチやら蝶やらカナブンやらクワガタやらトカゲ(虫か?)やらカエル(ホントに虫か?)やらヘビやら・・・。
 ついこの間、三日連続でトンボに遭遇した。つまりそういう意味のタイトルだ。

 1日目。風呂から上がって居間へ行くとバサバサと音がする。「ん?」と家族を見ると
「トンボが入っとんじゃ」
とのこと。見上げると居間の電灯の紐にトンボが止まっている。お腹(というか、見た目は尻尾だが)が水色のシオカラトンボ。この辺りでは一番ポピュラーなトンボだ。
 あまり飛び回らずうるさくもなかったので
「ま、明日には自力で逃げるでしょ」
と放っておいた。

 二日目。また風呂上り、居間に行くとバサバサと音がする。昼間には気がつかなかったのに、夜になると音がするのだ。
「出てなかったんかな!」
と家族に言うと
「みてーななー(標準語だと「そうみたいね」ってとこか)」
との応え。自力で出れなかったのなら仕方がない。出してやらなけりゃ飢え死には必至。

 私は冬にはこたつに化けるテーブルの上に乗って、電灯付近でバサバサ、バサバサと飛び回っているトンボを手づかみで捕獲した。
 それにしても昨日は結構おとなしかったのに、今日は別トンボのように飛び回っている。おかげで捕まえるのにちょいと苦戦した。こういう時のために虫採り網を常備しとけば便利よなあ、とこういう時だけいつも話題にのぼるが、どうでもいい案だけにいつも忘れられている。よっていつも手づかみ捕獲せねばならん。
 さて、捕まえてみると、トンボはナツアカネであった。オレンジ色の赤とんぼだ。
「昨日のヤツとちゃうじゃん!」
と驚愕しつつ、真っ暗な庭へ放しに行く。
「じゃ、昨日のトンボは昼間に自力で脱出したんだな、やっぱり」
と思いながら居間へ入ろうとすると、出入り口のカーテンのあたりでバサバサバサと音がする。。。

「いるよ!まだ!」
と、慌ててカーテンの付近を捜索。すると、隣の応接間でクーラーに当たっていた父上が
「おう、おるで〜。夕方、カーテン閉めようったら、その辺でガサガサいようった」と目撃(?)証言を語る。というわけで飢え死に寸前に違いないシオカラトンボを求めて20分程もそのあたりを捜索したが、ついに発見されなかった。。。いつか部屋の片隅から彼のミイラが発見されるかも。

 三日目。今度は昼間。私は「郵便、来てるかな〜」と、郵便受けのある裏のガレージへ出た。すると、またバサバサバサバサ。。。

 見ると、ガレージの天井を大きなトンボが右往左往している。このガレージは別名「トンボ地獄」と呼ばれている。私が呼んでるだけだが。時々トンボが迷いこんできて、脱出できずに苦労しているのを見かけるのだ。横へ飛べば出られるのだが、トンボの間では「上へ飛べば空しかない」という教えが現代まで忠実に守られているらしく、上へ飛んでは天井に阻まれて出られない、という状況に陥るらしい。しかもこのまま放置しておくと、自力脱出できず、哀れな飢え死に死体となって転がってしまう、というのもままあるのだ。

 ところが、ガレージの天井付近でうろつくトンボはそれこそ網でもないと、手が届かないので捕まえられない。よっていつもそのあたりにある竹箒やら鍬やらを振り回して出口の方へ追い立てるのである。今回は見回すと手ごろなミニ熊手があったのでこいつを使用。トンボは、サイズからしてよくガレージに入り込むギンヤンマであろうと思われた。

 さて、天井を右往左往しているトンボに向かって熊手を振り回し、威嚇して出口方向へ誘導・・・しようとするが、このトンボはちょいと頑固者だった。奥へ奥へと行きたがるのだ。なんで明るい屋外と逆の暗い方へ行こうとする?暑いのか?避暑に来てるのか?私は必死で熊手を振り回して威嚇した。
「そっちじゃないって!」
 そして次の瞬間

 実にいい音がした。私は熊手でトンボにスマッシュを決めてしまったのだ!実はすばるは中学時代テニス部だったという経歴を持つ。コンクリートの床の上で仰向けで気絶しているトンボ!

 ひぃ〜〜〜!誰がこんなヒドイことを!アンタやアンタと駆け寄り、私はトンボを両手で掬い上げた。
「あ・あ・あ〜〜、殺しちゃったかなぁ」と思いもしたが、同時に高校時代、トラックと正面衝突して気絶し、数分後無事飛び立ったアゲハ蝶を目撃した経験もあったので、虫ってやつぁ、打たれ強いんだ、ということも知っていた。

 とにかく強烈な脳震盪(笑)に襲われていると想像されたので、そのまま庭へ運ぶ。庭の青ジソやらコスモスやらでジャングルと化している一角でシソの葉に止まらせてみようと試みた。が、ハラホレハレヒレとトンボは地面に落ちてしまう。あああ〜〜〜。

 しかしこの時私の心の中で悪魔がささやいた(笑)。実は拾い上げた時、このトンボがギンヤンマでなかった事実に気づいたのだ。お腹に水色のシマシマが入っていてちょいとヤンマよりは細身の彼は、私が名前の知らないトンボであったのだ。


記憶のみで描いたが、かなりいい出来(自画自賛)。マジマジ見たことがなかったので、実はこれがギンヤンマなのか?自信なし。
地面に伏せて弱っている彼を見て、
「シメシメ、この弱ってるスキに写真に撮ってしまえ!」と。

 何たる悪党!薄情者!人非人!しかし悪魔に心を譲り渡した私には良心の声など聞こえまへん。庭に面した居間へ入り、急いで一眼レフを取ってくる。彼はまだ同じ場所に伏せている。

 ふっふっふ。とつい声に出して笑ってしまったのがいけなかったのかもしれない。彼は私がレンズを向けると突然ヨロヨロと飛び立った。そして低空飛行で庭のジャングルに消えてしまったのである。。。
「あっ、くそっ、飛びやがった」と、鬼畜なことをこの時思った私はまだ悪魔モードであった。

 それにしてもトンボに縁のある三日間であったのことよ。

'01/08/24 UP


天晴れ野次馬

 夏休み期間中のことであった。

 昴家の人間は私を含め、わりと野次馬である。事件・事故の現場に出くわせば、ついつい見てしまう。

 ところで我が家は吉井川のわりと近くで、その土手の上を国道が通っているのである。国道はそのまま橋を通って川を横断するのであるが、この橋の付け根はカーブしているせいもあって、わりと事故が起こる場所なのである。最近はめっきりなくなったが、ガードレールを突き破って土手下へ転落するトラック、なんて事故も私が小さい頃には何度かあった。

 この土手道が、うちの2階の北の窓から障害物なしで見える。道自体の位置が高いので路面までは見えないが。よってここで事故があると、家から眺めるというのは、わりと日常的な光景である。

 ある夏の夜だった。この時、まだ私は2階でも南の棟の部屋で生活していたのだが、その夜も当然のごとくなかなか意識は遠ざからなかった。一人目を閉じ、寝る努力をしていると、土手の方からキキキーッ、ドンッと音がする。これが多分2:30頃。
「むむむ。事故ったな」とは思ったものの、せっかく寝付くための準備行動に入っているのを破るわけにもいかない。どうせ大した事故でもあるまい。と、そのまま寝る努力を続行する。しばらくするとパーポーパーポーと救急車がやってきた。「来た来た」と思いつつも寝る努力続行。

 しかし。一向にこの救急車が去らない。去らないうちに今度はウーウーウーとやって来る。断続的にいろいろ来る。うるさい。

 この頃になって「これは見といた方がいいかもしれん」という気になって、ついに寝る努力を無にして起き上がって窓を開けてみた。これが大体3:00頃。

 この窓からだと北の棟がちょっと邪魔になるのであるが、一応現場の様子は見て取れた。なんと救急車やパトカーのほかにレスキュー車と思しいのまで来ている。乗用車とトラックの事故らしい。ストレッチャーが出されているのは見えるが、これは、乗用車の運転手がどこか挟まれて出れないのだな、と見た。

 状況を(勝手ながら)把握したのでそのまま寝ようとしたが、親にも知らせとかないと、あとで恨まれるかもしれん、と気づく。

 従って私は1階に降り、両親の寝ている部屋のドアをそっと開けて「土手で事故じゃ。レスキューみてえなんも来とるで」と言ってすぐあがって寝た。しばらくすると母上の上がってくる足音。そのまま足音は北の棟へ行く。一番見晴らしのいい部屋から見ようというのだろう。。。しばらく私は引き続き寝る努力をしていた。が、あまりにも音がしないので気になってまた起きる。これがほぼ3:30。

 私は北の棟の一番見晴らしのいいはずの部屋へいってみた。案の定北の窓を開けて母上が事故現場を見ている。
「どんな?」
「まだ動かん」
短いが緊迫した(笑)会話を交わし、私も見る。

 現場の状況は私が見たときとあまり変わっていないように見える。やはり乗用車のあたりで作業をしているようだ。ストレッチャーの位置も動いていない。が、変わったこともあった。

 それは見物人。

 増えている。
 近所の、うちと似たような条件の家ではことごとく北の窓を開けて現場を眺めているのがわかる。遠めに見るのでは飽き足らないのか、家から眺めるいい場所がないのか、現場まで歩いて行って見ている人も何人もいる。土手の現場近くへ上がるスロープ歩道は出来て以来初めて見る人口密度だ。パジャマやパンツ一丁のおっさんが大半だが、子供も混じっている。こういう時寝巻き姿ですぐ外へ出られるおっさんや子供はいいなぁ、と関係のないことにうらやましさを感じたりして。。。

 その時だ。私は最強の野次馬を見た。下の道路を白い乗用車がやってきた。田舎ゆえ、こんな時間にこの道を車が走るのは大変めずらしい。「ほう。めずらしいこともあるもんだ」と見ていると、その車は土手下で止まり、パジャマ姿(母親は普通の服)の若い家族連れが降りてきた。子供は背丈からしてたぶん小学校低学年か幼稚園二人。彼らは嬉しそうに連れ立ってスロープを登りだした。

 子供の一人はお父さんに肩車してもらう。もう一人ははしゃいでスキップしている。。。あのはしゃぎよう、若そうな両親ののんきな足取り。。。そう、彼らは朝の3:30過ぎに家族全員でわざわざ車に乗って事故現場見物に来たのだ!

 さすがの私と母上も、状況を理解した途端呆れ返った。子供は寝る時間じゃい!

 結局4:00頃になって運転手は救出され、救急車は去っていった。そして我々野次馬もやっと寝ることが出来たのだ。。。それにしても上には上がいるのである。車で来たあの一家、どこから見に来たのであろうか。
 天晴れ野次馬。ブラボー野次馬。

 ちなみにこの時の事故、新聞にも載らなかったので、死亡事故ではなかったのでしょう。怪我した人は死ぬ思いをしたのだろうけれど。

'01/08/17 UP


S子オンステージ

 昴S子。母上である。

 彼女は直感型人間である。会話をしていても、直感で話すので(?)話が飛びまくる。指示語だらけ。「あれをなー、あれしてこうやっといて」などとよく言うが、「あれ」ってなんじゃい。「こう」ってどうよ?

 慣れていればなんてこともないが、慣れない人には話の展開が読めないこともしばしば。しかも最近トシのせいかちょっとボケが入りつつあって時々怖い。。。
 ま、しかしおおむね愉快なボケなので一部をご紹介。。。

その1 直感型発言の例

 ある日の台所。彼女は自分の作っている野菜の名前をド忘れして困っていた。私に一生懸命解説して名前を引き出そうとする。
「ほら、あの、緑色で、畑にブキブキ生えとる・・・」
 ? 畑で緑色は大抵の野菜がそうだ。しかし「ブキブキ」生えている?私にはとうとうわからなかった。答えは姉上(小)が出した。「ブキブキ」でわかったらしい。
 答えはキャベツ。言われてみればなんとなくわからんでもないが、「ブキブキ」でわかった人はすごいんじゃないかな〜。。。

その2 ドライブボケ−1

 家族ドライブ中のこと。家族でドライブへ行くと母親というのは助手席で居眠りをするものだと私は思う。うちの母上がそうだからだが、すれ違う対向車を見ても、寝ているお母さんがやたら多いからだ。

 そして起き抜けにはボケをかますのだ(笑)。

 その時我々は紀伊半島にいた。本州最南端の潮の岬を目指して車は走っていた。うねうねと岬の道を灯台目指して走っていると、問題の灯台が見え出した。目的地は近い。
「おい、起きーよ、着いたで」と父上が母上を起こした。すると母上は
「う〜ん、室戸岬は何べんも行ったからええわぁ〜」と言った。。。もう一度念を押すがここは潮の岬。

 その後3ヶ月位はこのネタが我が家のギャグネタとして使われた。

その3 ドライブボケ−2

 今年の5月、淡路島へドライブに行った。淡路島の南の方は玉葱で有名。して北の方はどうやらビワらしい。土産もの屋へ寄ると「ビワパイ」だの「ビワせんべい」だの「ビワまんじゅう」だのがあるので、それと知れる。

 さて、車の中で先ほど行った土産物屋の話をしていた。母上は例のごとくもう寝ている。
「それにしてもどうしてビワなんじゃろうな」と私が言ったとき
「うう?」と母上が目を覚ました。そしてすぐさま話題に参加したがる。
「何じゃて?」
「いや、だからなんでここでビワをいっぱい作りょんかな、言うて・・・」
「そんなん、ビワ湖じゃからに決まっとろう

 しばし車内を沈黙が支配した。も一度念を押す。ここは淡路島。

 しかも「ビワ湖だからビワを作っていて当然」という駄洒落のような論理展開。。。

 このネタは未だに我が家でギャグネタとして使用されている。

 この話、塾生にしたら大ウケであった。「ええなあ、先生ん家、楽しかろう」とも言われた。確かに楽しい。してみると、S子さんは知らず知らず我が家に笑いのネタを提供していることになる。主婦としてなかなか優秀ではないか。

 実はあの数々のボケも家族に笑いを振り撒こうと計算づくでやっているとしたら・・・ということは間違ってもなさそうだが。ともかく、こうして今日もS子は昴家に笑いのネタを提供すべくボケをかましまくっているのであった。平和だ。 

'01/07/20 UP


シロップ漬け

この話は少々グロイです。これから飲食される方、最中の方は読まないことをおススメします。

 また少々グロイ話だ。
 別にグロHPを目指しているわけじゃないんだが。

 数日前の夜だ。
 夜中、本格的に寝る前に、咽の渇きを覚えた私は、台所に行った。
 選択肢は水・カル○ス・梅酒だ。梅酒は自家製の○年物である。台所の片付けをした時に続々出てきたので、以後、なるべく飲むように心がけているのだ。中には20年物位もありそう。
 それと一緒に梅シロップというものも発見されていた。こいつは甘いだけのアルコール分のない代物である。甘いだけでさほどおいしいとも思わないのでなるべくこのシロップから片付けようと心がけていた。

 さて、寝る前だし、梅酒にしようかな、と梅酒のビンの収納してある流しの下を開けると「梅シロップ」と貼られたビンが目についた。もう梅シロップは飲みきったつもりだったのに、まだ残っていたか、と私はそのビンを引き出した。そしてヤな事実に気がついた。

 ビンのフタがない・・・。

 こんなゴキブリ天国のような場所に収納されているにも関わらず・・・。
 その時、居間との境のドアが開いて母上が入ってきた。
「何しょん?」
「いや、何か飲もうと思うて・・・。この梅シロップフタがねぇよ」
 といった会話が交わされ「ありゃー、そりゃ、いけんなー」と言った母上を見て、まあ、フタに関しては母上が何かするだろうと、私はそのビンを元の場所に戻し、その日は梅酒を飲んで寝た。


 さて、そのようなやりとりがあった2,3日後、6月の11日の昼、私はまたしても咽の渇きを覚えて台所に行った。姉上(大)が何やらウロウロしている台所で流しの下を開け、梅酒のビンを出そうとして、またしても「梅シロップ」のビンに目が止まった。

 ビンにはフタがしてあった。果たして母上は中身に異常がないかどうか確認してからフタをしたのであろうか?可能性は低い気はしたが、やはり見た目は大きい。フタがしてあるというだけで、なんだか安心感がある。どうせなんともなければ、いずれは飲まねばならん。

 私はガラスコップに「梅シロップ」をトクトクとついだ。
 そして次の瞬間、我知らず笑い出していた。

ふはははは〜
 

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見たくない人はくれぐれもクリックしないように。
 私の突然の笑い声に驚いた姉上が「どしたん?」ときく。
 私はゆっくり振り返ると、まだニヤケた口元のまま「見たい?」と言った。
 それだけで、さすが昴家の住人、何事か察したらしく、「いや、いい」と言った彼女は賢明だ。

 私の持ったガラスコップの中には、ほどよく梅シロップに漬け込まれた虫の死骸が何匹も浮いていた。
 体長3センチほどの、まだ成虫にはなってはいないが、かなり育ったゴキブリの子供、カマドウマなどなどと思われる・・・。それが梅シロップ色に染まっている。まるで意図して虫のシロップ漬けを作ったようにさえ見える。素晴らしい。

 私はシロップのビンの方へ視線を移した。半透明の緑のビンを通して揺れる水面はまっすぐではなかった。でこぼこしている。
 つまりまだビンの中にもいっぱい虫のシロップ漬けがあるってことだ。

 一体何匹の虫がシロップの甘い香りに誘われ、ビンの中に落ちてその命を落としたことか。
 ああ、人工ウツボカズラ

 シロップ漬けに関する感慨が私の脳を駆け巡ったのも一瞬、ビンの中のでこぼこ水面を確認した私はすぐビンを傾け、ドクドクと中身を流しに捨てた。

 ふ、これで飲まなきゃいけない梅シロップが1本片付いたわ、と心の中でほくそえみながら。



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