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悪の教典 上下
貴志祐介/文芸春秋

 久々に衝動買いした。というか、「模倣犯」の時は姉上が物欲しそうな私に買ってプレゼントしてくれたので自分でハードカバーを衝動買いするのは初かも。とにかく上下巻、つるっと買ってしまった。で、、、某高校で爽やか青年英語教師が実は殺人鬼だって話で、怖かった〜〜。いや、「黒い家」同様、この主役の心理が怖い(゚дÅ)。こんな爽やかにサクサク人を殺すことが選択肢に入っちゃうことが。最初は自分が快適に暮らす環境整備のための殺人だったのが、だんだん前の殺人を発覚させないための殺人に変わっていき、最後は自分の担任クラス皆殺し計画に( ̄▽ ̄;。や〜、ハラハラしました。でも最後がやっぱり怖かったね(゚дÅ)。共感能力って大事なんだね〜〜としみじみ思う。そしてやっぱり精神鑑定で無罪とかそういうのはどうかと思う。。。( ̄▽ ̄;。
'10/12/24 UP


Anniversary50
綾辻行人他/光文社(カッパノベルス)

 書店で見かけて買った。カッパノベルス50周年記念の短編集。綾辻、有栖川、田中芳樹、宮部みゆき、森博嗣、横山秀夫あたりの名前が並んでいたので、これは買ってはずれはなかろうと( ̄▽ ̄)。で、面白うございました。綾辻行人と有栖川有栖は初めて読んだが、なるほどこういう作風か、と。このあたりのトリックは短編だからか、結構早い段階で見えたのでさほど意外性もなく。作者は五十音順で入っていたが、やはり後半三人が面白かったなぁ。宮部みゆきは江戸怪談であったが、結構はらはらして読んだ。博打眼てなかななかエグイ。森村誠一は、色々出てくるシーンと人間がどうつながってるのかと思ったら「こうつながったか」という面白さがあった( ̄▽ ̄)。横山秀夫は、原作は読んでいないが、ドラマは見た「臨場」の倉石さんが出てきて、まさかの「その後倉石さんがこんなことになってるとは!」とちとびっくり。やあ、でも喋り方とか、ドラマの雰囲気まんまなのね(* ̄m ̄)。その洞察力の凄さに感心いたしました<倉石さんの。
'10/04/09 UP


トーマの心臓
森博嗣(原作:萩尾望都)/メディア・ファクトリー(ダ・ヴィンチブックス)

 御存じ、萩尾望都の名作マンガ「トーマの心臓」のノベライズ。萩尾望都の大ファンと聞いていた森博嗣が小説にしたのですね〜。ということで、ハードカバーでちとお高いが興味津津で買ってみた。表紙や各章の扉が萩尾望都の描き下ろしでまたお得な感じ♪。
 舞台は昭和の日本だってのがちょっとびっくりだが、私立の工専あたりの寮が舞台なので、原作通りの展開も不自然でなく、まあ登場人物が全部教授のつけたニックネームでしか出てこないあたりで(なので「トーマ」とか「エーリク」とか普通に呼ばれている)名前の変更もなし。主役はオスカーで、彼のみハーフなので本名でございます。オスカーの生い立ちやらエーリクの生い立ちやらも原作通りで、文章媒体な分、オスカーの心理がよく描かれていてよろしゅうございました( ̄▽ ̄)。や〜、まさに「トーマの心臓」。面白かった。トーマの遺書やトーマが自殺する気になった理由には触れられなかったが、問題はユーリが立ち直れるかどうかなのでそこの説明はなくてもOKな気がした。あくまでとことんオスカー視点からの話だったし。文体とか間違いなく森博嗣で、オスカーの独白も間違いなく森博嗣的論理展開なのに、違和感なくまるっきり「トーマの心臓」で、原作好きで森博嗣未読の人にもこれは違和感なく受け入れられるノベライズではないかと思われます。
'09/10/09 UP


名もなき毒
宮部みゆき/光文社(カッパノベルス)

 以前借りて読んで、しみじみいい話だった「誰か」と同じ主役。この主役の2冊目ですな。作者は「昭和名曲歌謡シリーズ」と密かに名づけているそうな。惚れた女性が実は大企業の会長の娘だった、という経緯で逆玉になっちゃった主役ですが、賢明な会長判断で娘婿とはいえ、会社のことには口を出せないことになっている&本人も小市民なのでそんな気は毛頭ないにも関わらず、どうしても周りには逆玉として見られてしまうのでした。そういう苦労やらも背負いつつ、でも愛する家族のために日々こつこつと働く主役がまたまたその人の好さで事件にかかわることに。。。
 つーことで、今回は世間を騒がす連続無差別毒殺事件。が、しかしこれが連続ではなかったことは割と早めに判明。被害者の孫とかかわることになったために事件に巻き込まれるわけですが、今回は同時進行で主役の部署で起こった「困ったちゃん」な女性の引き起こす事態の方が怖くてハラハラ。も〜〜、この原田さんが!!いかにもいそうで!!怖いよ〜〜(゚дÅ)。どうしてこの人はこういう、いかにもいそうな怖い人を描くのがうまいのであろうか。やーもう、この怖い怖い原田さんを相手にしながら、主役のあまりの人の好さにハラハラドキドキ。もうねー、クライマックスでは「ほら、来たーー!」な気分でございましたわよ。で、この家、、、ちゃんと住んで欲しいけど、この後どうしたんでしょうね。奥さんも頭いいんだから落ち着いたら納得して住んでもらいたいけれど。ああ、このシリーズってしんみりいいわ〜。
 ちなみに「名もなき毒」とは人間が内に持っている毒のことなのです。泣ける。。。(゚дÅ)。
'09/09/11 UP


クライマーズ・ハイ
横山秀夫/文春文庫

 以前借りて読んだ「半落ち」と同じ作者である。で、NHKでドラマをしているのも知っていたがちらっと見たのみ。この夏には映画にもなった。ドラマになった時からちょっと読んでみたいかも〜、と思っていたのでついに買って読んだ。御巣鷹山日航機墜落事故を取材する地元新聞の記者が主役で、いきなり全権デスクに抜擢され、色々色々、色々〜〜な人間模様が絡む話で面白かった( ̄▽ ̄)。始まりは17年後で谷川岳の衝立岩という、難所に登ろうとする主役がその行程で17年前の事件当時を思い出す作り。や〜〜、主役本人の家庭の問題、事故当日に倒れた友人の問題、かつて自殺まがいの事故で死んだ部下の問題、事故取材中のいろんな記者の問題やら社内の上層部の人事なんぞに絡んだ問題がいっぱい出てきて中間管理職の難しさやら部下の無念さやらいろいろと面白うございました。主役もいつやめさせられるのかいつやめるのか、とハラハラしながら事故報道の流れなんぞを追いつつ読めました。や〜、「震度0」や「ルパンの消息」も読んでみたくなりましたな。
'08/10/17 UP


首都誘拐
鈴木輝一郎/祥伝社(ノンノベル)

 元はばりばりの第一線で働いていたのに、上司の失墜により窓際族となって久しい中年男が、ある日双子の弟と間違えられて誘拐され、会社にも妻にも身代金を払う価値なしと判断されたことから、誘拐犯と組んで東京都の誘拐を実行する話。おくづけを見ると平成6年の初版でした。書き下ろし。
 当時、新聞広告を見て「面白そうだな」と思い、私にしては珍しく衝動買いした1冊。衝動買いの甲斐のあった面白い展開でしたー。身代金の一兆円も無事に取り、でも思った効果は得られなくて儲けはあまりでないのだが、主役と、協力した誘拐犯の真の目的はこの前代未聞の犯罪を人を傷付けずに成功させることだったので、そういう意味では大成功。そして事件のおかげで、主役には娘が出来て、暖かい家庭を築くことが出来、世の疲れたおじさんたちは自分もまだまだがんばれる、とエールを送られた気分になったのであったー。
 で、とっても面白かったので、当時友人に貸そうとしたところ、「そんなおっさんくせぇ本、読みょん!」と呆れられた思い出が強烈に残っております(゚дÅ)。そういう意味でも印象的な一冊( ̄▽ ̄)。
'07/03/16 UP


大誘拐
天藤真/角川文庫

 どうも私は誘拐物に弱い。いや、たまたま見て面白かった映画がたまたま誘拐物が多いだけの話かもしれないが。で、この本、たまたまレンタル屋で物色していた時にタイトルの「誘拐」の文字と、緒形拳が出るってんで、全く予備知識なしに借りて見たら面白かったので原作もへろっと衝動買いしたのであった。映像作品が気に入って原作にまで手を出すことは私には珍しいことなのである。
 で、話は和歌山の大地主のばあさんを三人の若者が誘拐して5千万とろうとするのだが、ばあさんの方が上手で、身代金を自ら100億に吊り上げ、受け渡し方法も何もかも考えて県警本部長との知恵比べ状態になるという。。。や〜、面白い映画でありました。でも映画では結構マヌケに見えた三人組、原作読むと思ったよりずっと頭が良かったですわ(笑)。まあ、その点以外は映画と原作はほぼ同じ感じでよいお話でありました。いろいろ泣かされるシーンもあって、普通の誘拐物にありがちな悲惨さとか可哀相なところが全然ないのがスゴイ。まあ、全てはこのばあさんの人柄のせいですけど。この明るく、人情味溢れるサスペンスは私の大好きな仁木悦子の作風にも通ずるなあ、と思っていたら、先日借りて読んだ宮部みゆきのどの本かの解説で、やはり仁木悦子と宮部みゆきと、この本の作者に同系列の流れを見ている方がいて、ほー、と思ったのでありました。
'07/01/05 UP


モンスターズ1970(小説アンソロジー)
菊地秀行他/中公ホラーセレクション(ノベルス)

虫の複眼っぽいのを描こうと思ったのに、ただの卵になってしまった。。( ̄▽ ̄;。
 尾之上浩司監修、井上雅彦、田中啓文、友成純一、菊地秀行参加のホラーアンソロジー。テーマは1970年代風味のモンスターもの、ということで。。収録4作品とも、それぞれに味があって面白うございました。背表紙の「菊地秀行」の文字が効いたらしい(笑)。特に頼んでいなかったのに本屋さんが気をきかせて取り置きをしてくれていたので、ありがたく購入したもの。
 井上氏の話は、かの有名な「エク○シスト」の事件の真相・・・という形で語られていって、まさかの日本妖怪対バビロニアの悪霊対決に(笑)。途中から加わる警部補がどう見てもコ○ンボ!でもまたこの人に関しては最後で意外な種明かしがあります( ̄▽ ̄)。
 田中氏のは、私が好きなパターンの展開でしたなー。島根と広島の県境にある山村に引っ越して、山を発掘する男。村人が信仰する神を、男はこの地方の大豪族の墳墓だと信じて、村人の妨害にもめげず掘り続けるが・・・・。いやー、ナゾの人面鳥(というより人間に羽が生えてる状態だが)は出るわ、アヤシイ文句の彫られた鏡は出るわ、気分は「三つ目がとおる」(をい、そっちか!)。段々謎が解けていく下りは実に楽しゅうございました。最後の対決も面白かった。でもこの最後は救われん〜〜(゚дÅ)。最後でバタバタ神様の謎が解けたあたりで、小松左京の「黄色い水」(だったよな?確か。うろ覚え・・・)を思い出しました。あれも好きなんだよな〜。
 友成氏のはまさしく〜!昔よくTVで見た巨大化昆虫パニック映画もの〜!!最初っからエグイです。食道に侵入したヒルを引っ張り出そうとして食道や胃まで引っ張り出してしまうのは・・・ううう・・・。いや、淡々とした文体がなんとも面白かったですわ。
 そして菊地氏の「甘い告白」。最初は深刻な(というか暗い?)エピソードから始まるのに、主役が出てからはギャグの連続!!(笑)。いや、状況はギャグではない場面でも主役の一人称で進むので、かなりおかしい。早い段階で絡んでくる父娘も強烈な性格してますし。。謎の巨石落下事件を追って専門家の、アクの強い学者とその娘とともに青森へ向かったフリーライターは・・・てな話ですが、巨石が落下するまでの前フリや青森へ行くことになるまでのドタバタも凄いし、しかも、まさか最初のエピソードがこう絡んで、ダイダラボッチまで絡むとは。いやー、とんでもない展開で楽しかったです。他が最後まで救われない話ばかり(でもないか??)だっただけに、いい感じで締められていたかと(* ̄m ̄)。
'04/07/02 UP


銀河鉄道の夜・風の又三郎・ポラーノの広場
ほか三編(小説)
宮沢賢治/講談社文庫

 小学生の時に読んで大泣きした本といえば「星の王子さま」と「銀河鉄道の夜」なのであーる。「銀河鉄道の夜」は最初学校の図書室で借りて読んで、後年「やっぱりああいう名作は持っておかないといかんだろう!」と買ったのがこの本。ううう、名作ですな。
 この世界観というか、浮かぶ情景の美しさよ!出てくるあらゆるものが美しくて、夢があって、意外で、わくわくしながら読み進み、ラストで大泣き(笑)。後年、ネコの絵でアニメになった時も出不精の私がわざわざ映画館まで赴き、またまた大泣きしたのであった。私が映画館で泣いた中では、その泣きっぷりにおいて、この映画を越えたものはまだない(爆)。
'03/02/07 UP


火曜クラブ(小説)
アガサ・クリスティー(中村妙子訳)/早川書房

 ミステリの女王、クリスティーの生んだ2大探偵の一人、ミス・マープルのデビュー(だったと思う)短編集。ちなみにもう一人はポワロね。私は、小説といえば気軽に読み返せるので長編よりも短編の方が好きなのだ。よってミス・マープルものではこの本がダントツに好きです。ミス・マープルはおばあちゃんなのだが、安楽椅子型探偵の最たるもので、みんなが語るナゾを聞いてたなあ、と思ったら劇的瞬間もなく、当たり前のように犯人を当ててしまうのがスゴイ。はっきりいって、全然犯人がわかりませんでした、私は。ポワロは性格的に好きじゃないのであまり持ってないんだが、マープル物は集めたね。好きです、このおばあさん。マープル物長編では「ポケットにライ麦を」が一番好き。クリスティお得意&私も好きな見立て殺人だし、ラストがね。。。哀しくてなんとも言えんのだわ〜。。。ドラマや映画もあるが、「パディントン発5時40分」でマープル役をやってた人が一番私の中のマープルさんのイメージに近かったです。
'02/01/04 UP



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